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映画『パッチギ LOVE&PEACE』を観る
 
I藤 2007.7.22
封切り後なかなか行く機会に恵まれず、6月も末になってから劇場に赴いた。飛び切りの注目作とは異なり、平日と相まって場内は閑散とし、左右前後の数席を独占状態で鑑賞できたことは私にとっては非常に満足な環境であった。

ストーリーは前作に続き、在日朝鮮人家族の生業を描いたもの。

個人的に最も気になったヒロインは、前作の沢尻エリカから中村ゆりへと交代。清楚・清廉系のイメージをキープしつつも、その存在感は前作よりかなり高いと評価。

前作は朝鮮戦争前後の混乱期からそう遠くなく、在日朝鮮人の権利取得運動が活発になる前という時代設定(68年)であり、そういう意味においては乱闘などの過激なシーンをはじめ、泣き笑いの感激を交えた場面がウェイトを占め、鑑賞者に心理的な印象を与えたものと感じる。
その仕上がりは各賞受賞に象徴される。

色々な情報を見聞きするところでは、どうも今作の出来は前作よりも劣るとの評価が多い。
しかし、私が見た限りそれは素人意見に過ぎず、今回は時代設定が前作の6年後(74年)ということで、単に乱闘等による音響的・視覚的インパクトの部分が減少しただけのことであり、かえって時代が変わっても在日朝鮮人を取り巻く環境は良くならないという生活実態をうまく表現出来ていたと考える。
その分、登場人物の心理描写は前作よりも細やかになっていたと評価する。

ただ、ところどころであの色濃い "井筒アピール" が鼻についたことは否めない。

BGMは相変わらずエキゾチックな "イムジン河" が心地よく、普段では聞き流すであろう"あの素晴らしい愛をもう一度" も、閉幕後何度も口ずさんでしまうなど印象的だった。

最後に、この映画の舞台は江東区枝川がメインであるが、これもまったく個人的な意見であるのだが、川向いの豊洲に住む私にとっては恐らく他の鑑賞者が感じたであろうものとはちょっと違った親近感を覚えた。

印象的なフレーズの中に、「もっとお金があれば豊洲の病院ではなくて、大きな病院に行かせたい」というものがあった。
今では豊洲にも大学病院が進出し、地下鉄が開通するなど急速に便利になりつつあり同じく枝川も文句なしの住宅地となった。
33年前は満足な病院が存在しなかった程の陸の孤島だったということが窺い知れ、そのギャップが時代の流れを感じさせる。
この映画では触れてはいないが、当時は万博開催の名の下に在日朝鮮人が治水整備もろくにされていないこの地区に追い遣られた。

この文書を読んだ頃には、映画館での上映を探すことは困難であると思うが、劇場推薦派の私にとっては少し気が引けるものの、いずれDVDなどで鑑賞する機会があれば、是非お勧めの作品であることを思い出していただきたい。

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