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世界から日本を見る!:アメリカ
 
「マルクスの亡霊」
2005年7月6日
石塚 記
 

【シュレーダー首相連戦連敗(2005年7月6日)】

  ノルトライン=ヴェストファーレンでのSPDの敗北、フランス、オランダでのEU憲法条約の否決に続く、第三のショック、シュレーダ首相の信任案の否決によって、戦後ドイツの憲法史上、2回目の連邦議会の解散が現実味を帯びできました。
ワイマール憲法下での小政党の乱立が政治的不安定とナチスの台頭を許したという反省から、5%条項を設け、一定規模の政党の存在を前提とした政治体制を構想しているボン基本法でしたが、危機における「大連立」の可能性が示唆される中、新たな政界編成が始まりました。
現状では、首相不信任を受けて、大統領が解散を命ずるのか、あるいは、憲法を改正して、議会の自主的解散権を公認し、それに基づいて解散するのか。これには、当然、連邦憲法裁判所への提訴が予想されます。2005/06年冬学期の大学の憲法の授業は、この話でもちきりでしょう。
支持者が40%を超えたCDU・CSU、20%まで下がったSPD、5%条項のクリアに汲々とするFDPと緑の党、そして、蘇ってきた旧社会主義統一労働者党、PDS。SPD左派だったラフォンテーヌがPDSと共闘して、WASGという政党を作りました。「総選挙での対案を提示し、労働者のために社会的正義を実現する政党」とでも訳すのでしょうか。いまや10%を超える支持を集めています。
いまのところ、CDUの首相候補メルケルが初の女性首相になる可能性はかなり高いようですが、彼女はDDR(旧東ドイツ)の出身。PDSの台頭とあいまって、統一後15年目にようやくオッシー(旧東の人たちへの蔑称?)の政治的存在感が出てきたという感じです。しかし、保守政党のCDUから東出身の女性首相が登場というのは、先進国BRD(西ドイツ)にとっては気になる出来事でしょう。
エジンバラ・サミットにデモがかかり、ライブ8が世界的に盛り上がる中、大英図書館のマルクスの亡霊がヨーロッパを彷徨っているようです。そうそう、今日、オリンピックまでロンドンにもっていかれちゃいました。

 
バックナンバー
  フランスのEU憲法条約否決は、この間のドイツ政治にとって、第二の大きな出来事であった。
2005年6月14日 石塚 記
  ドイツ刑法学会から 2005年6月6日 石塚 記
 
 

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