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2005年7月7日、ロンドン
2005年8月3日
 

 大事件の現場に居合わせるということは人生のうちでそう多くはないだろう。
幸か不幸か今年7月のロンドンでの地下鉄・バス車内爆発物事件の当日朝、
私はロンドンに滞在しており、あと半時間の差で地下鉄を利用するところであった。
いつか起こるかもしれないと常にいわれ続けていたとはいえ、G8開催期間中の厳戒態勢中で、
かつロンドン五輪招聘成功の喜びにわく首都を狙ってきた自爆テロ騒ぎにマスコミの反応は凄まじいものであった。

 では偶然にもその場に居合わせた旅行者の一人としてみた街の風景はどんなものであったか。
何よりも印象深かったものは、極端なまでの騒と静の対比である。
一分と間を置かず耳に飛び込んでくるサイレンの音と上空に停滞するヘリコプターのプロペラ音。
もしかしたら今半径100メートル以内で次々に爆発が起きているのではないかと思わせるような緊張感を
たしかに感じさせる雰囲気が満ちていた。
その反面、通常なら観光客の波でまっすぐ歩くこともできぬような通りも、
「sorry, we’re closed」の張り紙の並ぶ商店街と同様すっかり人並みが途絶えてがらんとしていた。

 ようやくのこと友人とおちあいトラファルガー広場で休憩していた私の心に感じられた思いは、
安心や不安というものよりも、ロンドンがむしろ通常よりも平和だという感情であった。
目の前で仕事を早く切り上げた若いサラリーマンが広場でフリスビーをしているところを
セキュリティーに正されていたという事実は多少ふざけ過ぎだろう。
しかし普段よりもはるかに少ない交通量と観光客の数、
駆け足で観光して回ろうにもその「足」が断絶されている状況では、
皆仕方なく雨上がりの午後をゆっくりくつろいでいるかの様でもあった。

 もとより外国人人口の極端に高いこの都市の性格上、
皆が同様の反応をとらない(とれない)のではないかと常々感じていたが、
今回総じて感じさせたのはこの人々の落ち着きようである。
これはきっとこの英国人の国民族性を良く表しているもので、
礼儀正しく(たとえ表層であっても)冷静であるという彼らの性質が緊急時にも表れたのではないだろうか。
ただ報道のカメラマンたちだけが、再発するかもしれないという情報をいち早くとらえるべく
携帯電話の向こう側の誰かと連絡を取るのに必死そうであった。

 万が一の可能性を避ける為交通機関を使わず徒歩で帰途につくロンドン市民の心中が
その足並みのように整然としていたのかどうかは、一旅行者であった私には到底計り知ることが出来なかったが。

 
 

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