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HuRP通信 2023/01/20
戦時の知事:島田叡(あきら)を伝える映画
「島守の塔」と「生きろ 島田叡」
「島守の塔」の映画チラシ
 沖縄本島南部糸満市の沖縄平和祈念公園の中、明仁上皇が沖縄訪問の際には必ず供花する国立沖縄戦戦没者墓苑や各県の慰霊塔などが建ち並ぶ摩文仁の丘のふもとに「島守の塔」はある。この慰霊塔は、沖縄戦で亡くなった県庁職員の慰霊のため1951年に建てられた。そして、一段高い所には、島田叡(あきら)知事・荒井退造警察部長の名前が刻まれた碑が建っている。そこは2名の生存が最後に確認された場所である。

 沖縄戦当時の県知事とは、選挙で選ばれる知事ではなく、日本本土から派遣される官僚であった。あくまで仕事は「県民を管理する」ことであり、日本帝国政府の愚作を上から沖縄県民に従わせることが求められた。詳しい話はネタバレになるので書かないけれど、暴走する軍部との葛藤の中で、全ての島田知事の政策が正しかったとは言えないが、島田知事は荒井警察部長と共に、常に県民の立場に立って行政を行おうとした。「生きて虜因の辱めをうけず」という戦陣訓がまかり通り集団自決が相次いだ沖縄戦の中、県組織が解散する末期に島田知事は県職員へこのように訓示した。「どうか命を永らえて欲しい」。

「生きろ」の映画ポスター
 そうした島田知事のエピソードや証言を元にドラマ化し、2022年に公開された映画が「島守の塔」である。監督は「地雷を踏んだらさようなら」の五十嵐匠、島田叡知事役に萩原聖人、荒井退造警察部長役に村上淳、県職員の比嘉凛役に吉岡里帆、凛の妹の比嘉由紀役に池間夏海、牛島満役に榎本孝明が出演している。話は、県職員の凛の視点から描かれ、戦争映画にありがちな兵士の戦闘シーンはなく、一市民の日常生活の中に入り込んでくる戦争の姿を描いている。一市民から見える戦争とは戦場ではなく、戦いの後に残される無残な姿ばかりなのだ、と映画を見て気付かされる。映画の中にカジマヤー(数えの97歳の長寿を祝う沖縄の伝統行事)の準備のシーンが一瞬出てくるのであるが、凛の祖母役に吉田妙子、父役に津波信一、母役に城間やよい、といった沖縄では知らない人はいない在沖タレントが出演している点も見逃せない。

沖縄県糸満市摩文仁にある「島守の塔」
 そしてもう一本がドキュメンタリ映画の「生きろ 島田叡——戦中最後の沖縄県知事」である。こちらは2021年に公開された映画であるが、Google Playなどでも既に配信されているので視聴は可能である。「米軍が最も恐れた男——その名は、カメジロー」の佐古忠彦が監督し、。島田知事を取り巻く戦争の状況も含めて、こちらは「島守の塔」より広い情報が解説されている。その中には、故大田昌秀元知事が想う島田知事について話すシーンのほか、凛のモデルの1人でもある上地よし子さんの証言も収録されている。また、津嘉山正種・佐々木蔵之介の両俳優によるナレーションも聴き応えがある。

 実は「島守の塔」とは別に、那覇市の沖縄セルラースタジアムの最寄駅の奥武山(おうのやま)公園駅の駅前には、「島田叡氏顕彰碑」が建てられている。こちらの碑は、島田知事の事跡を後世に伝えようと、島田知事が学生時代に活躍した野球にちなんで沖縄県内の野球関係者が中心となって著名・寄付を募り建てられ、故翁長雄志知事の手により2015年に除幕された。碑が2つも建つほどなのに、島田知事の事は本土ではほとんど知られていない。沖縄の人が島田知事を慕う理由を探ることも、沖縄への理解につながるのではないかと考える。
(GINZO)
那覇市の奥武山公園にある「島田叡氏顕彰碑」

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